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アメコミ関連で最近考えたこと

 ここしばらくのところ、通常の更新を変更してアメコミに関する記事を連続してアップしてきましたが、それは次回で最後にして、通常の運営に戻りたいと思います。
 実は、「DCユニヴァース:リバース」に関する記事も書こうと思ってはいたんですが……いざ「リバース」を読み終えた後で『ダークサイド・ウォー』を読み返してみると、「リバース」の内容で目新しく思えたようなものは、実はほとんど全て『ダークサイド・ウォー』の方に出てきているなあ、と。そう考えてみると、わざわざ「リバース」に関する感想を独立した文章にする必要はないように思えてきたのです。
 やっぱDCコミックスって全日本プロレスと同じだなあ……と改めて思うのが、「実質的な顧客層の数は少なくとも名前自体はビッグネームなので、いざ大きな事件が起きると、実態をなんも知らんのに事情通ぶって語りたがる輩が激増する」ということなのであります。そういうわけですから、「DCユニヴァース:リバース」に関する記事をこのブログに上げたとして、(わざわざ私の方からも見えるようにリンクを貼った上で)上から目線であれこれ論評した挙げ句極めて的外れなダメ出しをするような愚か者が複数出てくることが自明なのです。以前起きたこととして、私が「キャプテン・アメリカ」誌を読み始めてから後に生まれたような大学生が私の見解にあれこれダメ出しした挙げ句、「まあ、考えは人それぞれか」などと、さも対等であるかのような結論を宣言したり……あるいは、アメコミの映画化に関する私の見解が、「特にアメコミに関する詳細な知識を持っているわけでもない一般的な観客層のなんとなくの共通認識」と一致しないものであると、「逆張りしてるだけ」などとわざわざ言ってよこす輩が現れるような地獄絵図がありました。
 余談になりますが、「逆張り」という言葉は、私の中では、「その言葉が発せられた時点で、それを言った人物の言葉の信憑性が十分の一くらいにまで減じられるNGワード」ということになっております。もともとの意味であろうギャンブルでの張り方とかから離れて、複数の異なる考えが存在するときに特定の何かを「逆張り」であると決めつけるということは、そもそも何かを「逆張り」であると宣言する人物の頭の中では、最初から「正解」が決まっているということにほかなりません。「正解」が「正解」であることになんの疑いもないからこそ、「正解」とは異なる考えを持つ者は、それが「正解」ではないことを本人もわかった上で、パフォーマンスなどの別の目的のために間違いを承知で特異な考えをわざわざ述べている、ということにされてしまっているわけです。……そんな極めて異常な偏見が高じると、ある特定の分野でにわか達が特に根拠もなくなんとな~く持つにいたった共通認識とは異なる意見は「逆張りしてるだけ」ということにされてしまうわけなのです。……いや、例えば私の場合、にわかが参入してくる前から元々持っていた考えが、にわかが参入した後でにわか達によって形成された常識から外れるということで「逆張り」扱いされたわけですが……ということは、私は時空を越え、自分よりはるかに基本的な情報を持っていない人々の未来の見解を確認した上で、改めて過去にさかのぼってから、わざわざにわかの考えから外れる「逆張り」をしたということになるんですかねえ? ……おれ、そんなスーパーパワーを持ってたのか……


 キャプテン・アメリカと言えば、ニック・スペンサーのライティングとともに新創刊された「キャプテン・アメリカ:スティーヴ・ロジャース」をめぐる状況も、ひたすらどこまでもうんざりするようなことになっていますなあ。創刊号の結末で、キャップが実はハイドラのスパイであるとをずっと隠していたことが示唆されるということがあったわけですが、そのことをきっかけに、巨大なバッシングが吹き荒れたのです。
 確かにそれが本当ならヒドイ展開であるわけですが……私が疑いを持ったこととして、「しかし、あのキャプテン・アメリカ道高段者のニック・スペンサーが……エド・ブルーベイカーがやらかしたDマン抹殺事件の後始末をしてDマンの名誉を回復するというキャプテン・アメリカ史上不滅の功績を既に残している、あのキャップ愛に満ちたニック・スペンサーが、そんなことをするかあ?」ということがあったのです。
 そんで、いざ「キャプテン・アメリカ:スティーヴ・ロジャース」のその後の展開を読んでみると……なんのことはない、キャップとハイドラをめぐるその展開は、もともとニック・スペンサーがライティングを手がけた「キャプテン・アメリカ:サム・ウィルスン」および『アヴェンジャーズ:スタンドオフ』で敷かれていた伏線が回収されたものにすぎず、きちんと通してストーリーを追っている読者からしてみれば、思いっきり話の途中の部分でしかなかったのであります。
 ということは、この事件はつまり、「別に普段からキャプテン・アメリカ関連の展開をチェックしているわけでもなければ、現行のライターであるニック・スペンサーの力量やキャップ愛を把握しているわけでもないのに、なぜかキャップファンを自認するクソども」と「話の途中の中途半端な部分を、あたかも新規読者でも完全に新しく読み始められるジャンプイン・ポイントであるかのように大々的に売り出したマーヴルのクソ編集方針」の華麗なコラボによるでっちあげにすぎなかったのです。ニック・スペンサーは悪くな~い!


 だいたい、キャップファンにしてみれば、真に激怒するべきなのは、映画『シヴィル・ウォー』の終盤の展開であるでしょう。私の場合、「どうせアクション演出の部分だけは高度なものになっていても、話はクソなんでしょ?」「どうせキャップは出てなくて、USエージェントしか出てないんでしょ?」とあらかじめ覚悟して見に行ったわけですが、終盤の展開の最悪ぶりは、それすら上回ってきたのでした……。
 そもそもの話として、キャプテン・アメリカというキャラクターが人命救助に関して「全員を救えるわけはない」とか言って最初から諦めてて、救いきれない犠牲者がいることを織り込み済みで活動している時点で、いやもうキャプテン・アメリカというキャラクターを用いる必然性自体がないからねと。……で、自分は強い信念の元に理想を徹底して追及しているわけでもなく、厳しい現実の前で妥協することは既にしているくせに、トニーが理想と現実を折り合わせるために必死で奔走して折衝した結果としての妥協案を提示したら、いやそれは従えない! とか言ってその部分では絶対に妥協せずに通すのって、それただの我が儘な人だからね。
 ……で、終盤の最悪のクソ展開がくるわけですが……なんというか、これはもう、「この人の過去とこの人の過去とをこうつなげたらこうつながるぞ」ということを、キャラクター設定を駒のように動かすことだけでつなぎ合わせた、キャラクター自体にはなんの思い入れもない人々が機械的に設定をいじることで、とにかく辻褄があった話を作ろうとした結果の悪夢のごとき産物であるわけですよ。ルッソ兄弟が脚本がうまいなんてことにしちゃうからこんなことが起きるんだよ。
 実は、DCコミックスの方でも、同時期に「バットマン&ロビン・エターナル」の終盤で、映画『シヴィル・ウォー』の終盤の展開に酷似するネタがあったことは事実なのであります。しかしそっちの方はあくまでもわき役に関することですから、メインのキャラクターの過去に取り返しのつかない設定を後付けで盛り込んでしまうようなことにはなっていません。そして何より、そのネタは、とあるキャラクターにヒーロー活動を引退させその周辺の出来事に一つの区切りをつけて結末に向かわせるためのこととしてきちんと最後まで描ききっているので、ちゃんと納得感があるんですよねえ……。


 私としては、日々精進しながらキャプテン・アメリカ道を邁進しているつもりではあるのですが、ニック・スペンサーをバッシングしつつ映画『シヴィル・ウォー』をほめたたえるようなことがトレンドなのだとすると、それには徹底して抗戦せざるをえないのでありますし、そのことが「逆張りしてるだけ」などと言われようものなら、そんな愚か者どもにたいする怒りを押し殺すことなどできないのであります。
 しかし、キャプテン・アメリカを擁する当のマーヴル・コミックスはと言えば、女性層などの新規読者の開拓に余念がなく……まあ、そのこと自体は別にいいわけですが、新規読者の開拓にほんのわずかなりとも障害になりそうなものなら、従来の読者にとって思い入れがあるようなものでもどんどん切り崩し、従来の読者を切り捨てていくので、「やっぱマーヴルは新日本プロレス……」と思うほかないのです。
 先日も、たまたまネット上を検索していて見つけたこととして、活字メディアなどではアメコミ関連の識者であるということになってるらしい人が、「基本、マーベルの方がDCより面白い」などとのたまっていて、突発的に殺意を覚えました。……いやもちろん、DCの主要作品とマーヴルの主要作品とを念入りに読み込んだ上でそのような結論に至ったのならばしょうがないのですが、この人の場合、そもそも商業誌上にあげているアメコミ関連の原稿が間違いだらけなわけです。で、ネットに書き散らしていたそんな言葉の前後を確認してみても、DCコミックスがふだん発行しているコミックのどこがどうつまらないのかに関する指摘は皆無で、具体性が全くないのです。ぶっちゃけ読まないで言ってるだろと。
 例えば、DCコミックスが擁する現役のトップライターとしてはジェフ・ジョンズやスコット・スナイダーやトム・キングなんかが挙げられるわけですが……これらの人たちの仕事が「基本、つまらない」と思えてしまうほどに優れた人材とされるのは、マーヴルで仕事をしている中で具体的に誰あたりなんですかねと。まさか、「今のベンディス」やらジョナサン・ヒックマンあたりが先の三人より上とか言うんじゃねえだろーなあゴラァ! などという怒りが腹の中で煮えたぎっているのであります。
 だいたい、昨年度のDCコミックスは『コンヴァージャンス』後の「DC You」という新展開が売り上げ的に大ゴケし、それが今年の「リバース」につながったんでしょうが、別に「DC You」は内容面での評価自体は低くないわけです。……というのも、アメコミ業界にありがちなコンティニュイティをいったん放棄し、各クリエイターの作家性の尊重するという方針で始まったのが「DC You」。ここで展開された新規タイトルの中には批評的に高評価の作品も結構ゴロゴロあったんですが、売り上げに全く反映されませんでした。
 つまり、「内容的には悪くないが商業的には失敗」という評価が既に確立しているのが昨年度の「DC You」だったわけで、一方のマーヴルが新規読者の開拓に成功した結果、両社の売り上げが結構離れたというのが、最近のアメコミ業界の状況です。そして、ここには、両社のコミックの内容面での優劣がはっきりついたという論調などないのですが……もちろん、アメリカでの一般的評価に従わなければならない必要などないわけですが、DCのコミック全般が全体としてマーヴルに劣るというのなら、「DC You」が内容面で何がダメだったのかを具体的に説明しやがれっちゅー話ですよ。「基本、マーベルの方がDCより面白い」とか言われてるとき、基本的にダメなものとされてるDCの作品ってなんなの? 『グレイスン』とか『ゴッサム・アカデミー』なんかの最近の作品は邦訳も出てるから誰でも検証可能になってるけど、このあたりのラインアップも、全部ダメなのよね? ……逆に、自分が読んでいないコミックを、売り上げの数字だけを見て「つまらない」と勝手に決めつけて偏見を垂れ流しているんだったら、とうてい許されることではないね。
 こういうのを見ておりますと、マーヴルしか読んでいない人間が、アメコミ全般の事情通だというふりをした挙げ句、DC方面で大きな話題があると、事情を全く何もわかっていないのに極めて的外れ自説を開陳して間違った偏見を垂れ流すという、日本でも新日本プロレスの周辺の人々が全日本プロレスに対してやっているのと全く同じことが起きているのがわかります。


 ……などというように、アメコミ関連の情報に接していると、日々憤懣やるかたない思いが蓄積してくるわけでありまして、もう実写化されたものなどいっさい目にせず、コミックだけをただ黙々と読んでいればいいのではないかとも思うのではありますが……し、しかし! 今や私には、あれが、そう、あの作品があるのです……
 どれだけデタラメなキャラクター造形がなされた実写化作品を見ようとも……わけわかってないのに知ったような口を利きたがるクソどもによって怒りが増幅されようとも……どれだけ心が折れそうになっても、何度でも戻ってくるたびにDCコミックスの一読者としての心が洗われ新鮮な気持ちを取り戻すことのできる、そんな作品が、コミック以外にも、実写化された作品でも現れるに至ったのです。
 そして、それを仕掛けたのは……そう、まさにあの、ジェフ・“おれのコミックのコレクションは6万冊以上あるが、99パーセントはDCだぜ~!”・ジョンズだったのです! 今や、ドラマの「フラッシュ」こそが、DCコミックスの読者が何度でも帰ってくることのできる故郷になりえたのです……ッ!









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コメント

映画版シビルウォーにせよBvS にせよ気になるのが、結局ヒーロー同士の価値観・正義感の対立それ自体にどう決着なり解決なりをつけるのか、という部分が、毎回有耶無耶にされたままクライマックスのアクションに流されてしまってる部分だと思うのですが、その点についてお考えをお聞かせ願えれば幸いです。
無論単純に正解が出せるテーマじゃないことは重々承知なのですが、話のフリとして散々煽って置きながら、結局投げっぱなしで終わるってどうなのよ、と思いますし、その点バットマンが抱える狂気なり矛盾を十分描きつつ、敢えて「スーパーマンの正義」に個人の執念が勝利する姿を描いてみせたDKRは偉大だったなぁ、などと取り留めのないことを考えてしまうのですが・・・
グダグダした感想ですみません。

Re: タイトルなし

> ponkotsuさん

 個人的に忙しかったため、返信が遅れてしまいました。
 確かに映画の『シヴィル・ウォー』にせよ『バットマンvsスーパーマン』にせよ似たような感じのウヤムヤ感がありましたが、製作経緯は互いに無関係ということもあるので、まあ結局は個々のスタッフの力量の問題じゃないですかねえ。
 『バットマンvsスーパーマン』の場合、むしろ対決面ではすっきりとバットマンが勝利するという決着を打ち出しちゃってるので、テーマ面でのウヤムヤは、今後のシリーズの製作方針に向けてどうこうという話ではないでしょうしねえ。
 結局、私はヒーローものというのは独立したジャンルフィクションであると考えておりますので、ジャンルに精通したものでなければストーリーを通して何らかのテーマを掘り下げるのは不可能であると考えています。例えばミステリなんかなら、ミステリに詳しくない人が映画化したところで、ジャンルを刷新するような「前代未聞の斬新なトリック」など生み出せるはずもありません。しかしヒーローもののアメコミの場合、あんま詳しくない人が既存のキャラをテキトーにごちゃごちゃ動かしても、アメコミに詳しくないファン層が、「革新的で、内容も深く、既存のコミックなんかよりはるかに優れているアメコミ映画」が完成するものと信じ込んでいることのほうこそがおかしいのではないかと思う次第です。

おっ次はドラマ版「フラッシュ」のレビューが読めるんでしょうか
楽しみです

Re: タイトルなし

 フラッシュファンとして全身全霊を込め、なおかつ、誰も言っていない視点を提示できるようがんばります!

フラッシュと同じユニバースであるアローと私が知る限りMERVELのドラマでは1番面白かったデアデビルをHowardさんがどう感じたかも気になります

Re: タイトルなし

> フラッシュと同じユニバースであるアローと私が知る限りMERVELのドラマでは1番面白かったデアデビルをHowardさんがどう感じたかも気になります

 う~ん、実は「アロー」も途中までしか見てないですし、マーヴル方面に至っては最近のドラマまでは全然チェックできてすらいないんですよ……。「他のドラマなんて見てる暇があったら、何度でも「フラッシュ」を見直そう」ぐらいの気持ちになっちゃっております……。

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