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『スタートレック/グリーンランタン:ザ・スペクトラム・ウォー』を読んだ

 DCコミックスとIDWが協力して実現したクロスオーヴァーの『スタートレック/グリーンランタン』が完結しましたので、紹介してみようかと思います。
 これはまあ、その名の通り、DCコミックスのグリーンランタンと、IDWがコミック化しているスタートレックのクロスオーヴァーであるわけですが……両社の協力が初めてというわけではなく、実は数年前に『スタートレック/リージョン・オヴ・スーパーヒーローズ』も既に実現していたのでありました(……しかし、個人的にリージョンのことはあんまり詳しくない上に、『スタートレック』もドラマ版だと一番最初のシリーズくらいしか見ていないもんで、これはスルーしてしまっていたのでした)。
 グリーンランタンの方の設定は、『ブラッケストナイト』の直後くらいの時期にあたるようですが、正史として起きたこととは微妙に異なる状況になっている、今回のクロスオーヴァーのためのオリジナル設定のようです。一方のスタートレックの方は、まあ主要キャラの描かれ方を見れば一目瞭然であるように、現行の映画版を踏まえた設定になっています。
 ……そうか、ということは――サラークさんと技術方面の話で盛り上がるサイモン・ペグ……じゃなくてスコッティ、とか、キロウォグさんにプーザー呼ばわりされるサイモン・ペグ……じゃなくてスコッティ、なんて場面が読めるんですね! などと予想し、読む前からすっかり盛り上がっていたのであります。





 『スタートレック/グリーンランタン:ザ・スペクトラム・ウォー』(TPBとkindle版)


  ライター:マイク・ジョンスン
  アーティスト:エンジェル・ヘルナンデス


 今回のクロスオーヴァーの発端となるのは、『ブラッケストナイト』後に再度起きたらしい、ネクロン率いるブラックランタンの襲撃です。これによって各色ランタンは全滅、ガンセットは最後の力によって「ラストライト」なるものを発動することになります。その「ラストライト」によって、各色ランタンの隊員一名ずつ及びスペアのリング一つずつが、ブラックランタンの手を逃れて再起を図るため、異なる宇宙に飛ばされることになりました。
 その異なる宇宙というのが、まあ当たり前ではありますが、『スタートレック』の世界。カーク船長率いるエンタープライズ号が、とある無人の惑星の地表で、ガンセットの死体とその周囲にあった六色のリングを発見し、回収することになります。
 その直後、エンタープライズ号はクリンゴン帝国のチャン将軍の乗艦と遭遇し、交戦することになりますが――ここで各色のリングが起動し、乗組員を所有者として選出することに。ブルー(希望)がチェコフを、ヴァイオレット(愛)がウフーラを、インディゴ(憐憫)がマッコイを所有者として選ぶことになりますが、イエロー(恐怖)は敵方のチャン将軍を選んでしまいます。また、その混乱状態に合わせて、生き延びてこちらの世界に飛ばされていたハル・ジョーダンも登場し、エンタープライズ号のみなさんと共闘することになるのでした。
 ……さて、以上のような事件をきっかけに全6号で語られたのが今回の『スタートレック/グリーンランタン』だったわけですが、要は、『ブラッケストナイト』でピークを迎えることになった、各色ランタンの抗争をスタートレックの世界に移して展開するのが全体の大筋になっています。
 前半部分では、レッド(憤怒)はゴーン人のグロコンのものに、オレンジ(貪欲)はロミュラン人のデキウスのものとなり、さらには、DCユニヴァースからシネストロとアトロシタスとラーフリーズもこちらの世界に飛ばされてきており、各勢力の思惑が入り交じった抗争が展開されることになります。……まあ、各色ランタンのリングというのは、要するに所有者の感情のエネルギーと連動しているものなので、スタートレックの世界だとどの勢力にどのリングを当てはめるのかということが大きな見所になっているわけです。
 これが後半になると、ガンセットのラストライトを追ってネクロンもスタートレックの世界に侵入してくることになります。この『スタートレック/グリーンランタン』に関してはやはりこのあたりが最大の見所で、ネクロンの力によって死から蘇りブラックランタン化してしまうことに最も必然性があるようなところが、うまい具合に選ばれています。そしてその上で、各色の感情の力を統合してホワイトランタンの力を生み出してブラックランタンに対抗しうるのが誰でなければならないのかというクライマックスの部分に関しても、グリーンランタンの道具立てをうまいことスタートレックの世界観に接合した上で活用できているなあ、と思える出来映えになっているのでした。


 ……まあ、そういう意味ではよくできてはいるんですが……なにぶん全体として6号ぶんの作品である上に、複数の勢力の複数のキャラクターが入り交じる複雑な展開をきちんきちんと整理整頓しててきぱきと淀みなくストーリーが展開していくので、読む前に私が期待していたような、話の本筋とはあまり関係ないキャラクター描写が展開されるような部分はほとんどないのでありました……。
 例えば、エンタープライズ号に遭遇したハルが「なにこの宇宙船? NASA? 君らNASAなの?」とか言って不審者扱いされたり、「おれだって空軍での階級は大尉なんだから、キャプテン・ジョーダンと呼べぇ!」と言い張ってみたり、なんにも考えないでとりあえず飛び出していくハルを見て「あいつ、行動する前に考えたことがあるのか?」などと言うカーク船長が「それ、私にはなじみ深い疑問ですねえ」とスポックに呆れられたり――と、面白い場面もあるんですが、逆に言うと、主役クラスのキャラクターでないとそこまで掘り下げた描写がないってことなんですよねえ。キロウォグさんは、終盤になってジョンとガイと一緒にちょこっと出てくるんですが、サラークさんなんかの場合、ブラックランタンに殺されたことが回想シーンでさらっと触れられるだけですし……。
 ……などというわけで、話としてはきちんとまとまっており、この種のお祭りとしては特に目に見えた欠点もないようなものとして仕上がってはいるのですが、倍の12号くらいの長いシリーズにして、話の本筋から逸れたキャラクター描写をいっぱい展開してもよかったのですぞ? などという物足りなさが残るのも事実ではあるのでした。
 しかし……しかし、です。まあ話の内容からもわかる通り、この『スタートレック/グリーンランタン』は、IDWの方で製作されたコミックです。ということは、DCコミックスの方で製作されるクロスオーヴァーもあり、現在進行中なのですが……私はこれに関しては完結してからまとめて読もうと思ってるのでまだ読んでいないのではありますが、「こ、この共演が実現した時点で、既に話の内容とか完全にどうでもいい!」と思えるような、並んで立ってるだけで最高な、ほとんどヤケクソ気味の、奇蹟のクロスオーヴァーが実現したのであります。……そう、そのクロスオーヴァーとは……これだーーーーーーッ!!!




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